『死体処理へ行かない?』

 大学三年生の冬、高校時代の友人の月野ちゃんから数年ぶりに送られてきたメッセージ。突然の事に適切な返答を思いつかないでいると、『明後日九時、いつもの駅前に集合ね』新しいメッセージが届く。
 彼女と最後に会ったのは高校三年生の初期、数年越しの連絡にしてはあまりにも唐突過ぎるけど。聞きたいこと、理解できないこと、いくらでもあったけど。この状況は素直に従うべきだと本能が告げるから、ひとまずシンプルに『分かった』とだけ返す。『数日分の休みと着替えも持参してもらえると助かるかも』となかなかの無茶振りが返ってきても素直に受け入れた。彼女からの誘い、逃したくなかった。下手な事をして二度と会えなくなるが一番嫌だったから。
 私は高校生の時、二回の転校を経験している。月野ちゃんは一回目の転校から、二回目の転校までの間に仲良しだった友達。水泳部のエースで、有望な選手だった。小さい頃からピアノを習って音楽一筋のインドア派の私とはタイプは違うけど、最も仲のいい相手の一人で。それなのにある出来事が原因で、転校後は連絡すら取らなくなってしまった相手。
「あー……」
 今でも大好きな人だから、心のほとんどは会いたくて仕方ないと求めるのは当たり前の事。だけど少しだけで、会わない方がいいと主張する自分もいてややこしい。意味不明な【死体処理】というワード、まとまらない自分の心、複雑に絡み合ってしまった感情。これを整理するためには会うしかない。それは間違いないから、結局選択肢は一つしか残されていない訳で。