次の日学校に行くと小学校のサッカーのときキャプテンをしていた遥真に声をかけられた。今日の部活の練絡だった。
「"玲王" 髪切った? 似合ってるよ。」
 遥真はいつもそうだ。一応女子に言っている自覚がないだろうか。いつものこと過ぎて一つも心に響いたことはない。そんな性格だからよく遥真はモテる。サッカー部という部分とあのビジュアルという面も大きいだろう。しかも、一年でスタメン、先生から期待されている将来有望の星、勉強もそこそこだ。悪い点を挙げるとすれば整理整頓が出来ない。それくらいしか挙げること出来ない模範人間だ。そんな悪い点であれば目を瞑ればどうってことはない。そんな彼とともにしたキャプテン、副キャプテンをして、今もなおサッカー部の女子部員として私は周りの女子から目を光らせられている一人であった。
「それに今日一緒帰らねぇ?」
 え。遥真が私と帰りたがるなんて珍しい。これはいいと言うべきなのかどうなのか。
「"玲王 "に拒否権はねぇからな。」
 本当に意味がわからない。こんな私だが、権利くらいないのか。
「じゃあな。」
 遥真は一人で会話しているようだった。しかし、一緒に帰るとなるといつもギラギラと光る目もより一層強さが増すだろう。
 そんなこんなで遥真のことへの対策を考えていたらいつの間にか学校が終わっていた。
「" 玲王"! 一緒帰る言ったやろ。急げ!」
 と教室に響き渡る大声で、遥真は言った。冷たい視線で見つめる女子の様子は戸惑いや驚きが感じられた。なんて返そう。なにか言っても逆鱗に触れるだけなので、何も言わなかった。