リビングに行くと、明らかに怒った顔のお父さんが椅子に座っていた。
「…これはどういうことだ。説明しなさい」
「……転入生に学校案内してた」
「どうして放課後の大事な時間を割いてまで案内なんてしたんだ」
「……それが、仕事だから」
「塾の方が大事だろう。奈央の将来がかかってるんだぞ。そんな仕事するより、勉強が先だろうが。転入生なんて、奈央にはどうでもいいじゃないか」
「……はい」
ホントは、この場で叫びだしたいほど辛かった。
そんな仕事、と言われて。この仕事も、千波くんのことも、侮辱されてる気がして。私のことを全否定されてるみたいで。
「分かったんなら、早く晩御飯を食べて勉強しなさい。そろそろ期末試験だろうが」
「……はい」
私はリビングに居続けるのも居心地が悪く、さっさと出されたご飯を食べると、お風呂に入って自室に籠った。
「……」
黙々と勉強しながら頭の中では色々なことを考える。