「はい、これ千波くんにあげる」
「なんで?」
「さっき取ってもらったから」
私がそう言って差し出すと、千波くんは受け取って
「ありがとう」
とにっこり笑った。
それからも、いろいろな屋台を回って、射的に挑戦したり、りんご飴を食べたりした。

午後六時半前。
「墨田川で見るのもいいけど、いいところ見つけたから、行かない?」
「え?うん、いいけど」
「こっち」
千波くんはそう言うとまた手を繋いで歩き出した。
それから歩いて十五分。一キロくらい歩いた。
「ここって……」
目の前にある建物はついこの間いったスカイツリーだった。
「スカイツリー…」
「この間行ったけど、展望台登ればよかったかなって思ってさ。それで、調べたらここって意外と穴場らしくて」
「そうなんだね…」
わざわざ調べてくれていたなんて、知らなかった。
私は千波くんと一緒にスカイツリーの展望台まで、チケットを買って上った。