「あの、これ、一つください」
千波くんは私が眺めている間に店主のおじさんから一つ、こよりを買ってきてくれたらしい。
「はい、これ」
「あ、ありがとう」
私は、受け取ってこよりを水につける。
何色にしたらいいのか悩んで私は透明な風船に、ピンクと白と水色の模様が入ったヨーヨーを取ろうと決めた。
私がヨーヨー釣りに苦戦していると、横からすっと手が伸びてきて、別のこよりがその風船を一発で取った。
反射的に横を見ると、千波くんだった。
「これ、あげる」
千波くんは、私にその風船をくれた。
「ありがとう」
私はそうお礼を言った後、あることを思い付く。
「千波くん、この中でどれが好き?」
「えー…これとか?」
千波くんが指さしたのは、同じく透明の風船に青と白の模様が入ったものだった。
私はプールの前にしゃがみこみ、こよりをもう一度水の中につけた。
結果、三分も風船と格闘して、手に入れることができた。