その後、私はなんて言ったらいいのか分からなくなって、少し黙り込んだ。
「奈央は―—」
お母さんが口を開いた。
「この業界がどれほど大変か知っての上で言ってるのよね」
「……うん」
「私、薄々気付いてたのよ、奈央がやりたいことは、こういうことなんじゃないかって。奈央が一人でこそこそファッション誌を呼んで一生懸命勉強してるのも知ってたし」
「……」
「いいんじゃないかしら?ただ、やるって決めたなら折れずに頑張りなさい。それが、お母さんが許す条件」
「そんなのダメに決まって……!!」
途中でまた、お父さんが反対の声を上げた。
「あなた、気付かないの?」
お母さんがお父さんの言葉を遮ってそう伝える。
「奈央の本気な表情に、声に、態度に、気付かないの?」
「っ……でも、お父さんは奈央の事を思って…!」
それは、なんとなく分かっていた。お父さんは実はすごく私の幸せを願ってくれていて、それで、いつもこんなことを言うんだって。