「何…言ってるんだ?」
お父さんがそう言う。
「私の将来の夢は……」
私は一度息を吐いて、新しく空気を吸う。
「―—買う人に喜んでもらえるような洋服をデザインすること」
私のその一言を最後に、沈黙が続く。
……逃げ出したかった、今すぐにでも。だけど、今まで私は自分のホントの気持ちからずっと逃げてきた。ここで、きちんと言わなくちゃ。
『奈央ならきっと大丈夫…!』
千波くんの言葉を思い出して、私は膝の上で握りしめた手に力を込める。
「私のやりたいことは、アパレル業界で、働くことです」
私がそう言うと、お父さんはゆっくりと口を開いた。
「お前は、アパレル業界がどれほど大変なのか、知ってるのか…?」
「…うん、知ってる」
そんなこと、言われる前から分かっていた。
「だけど、私がやりたいのは、この仕事だから」
「ダメだ、認められるわけない」
私の言葉にお父さん間髪入れずにそう返してくる。