「―—はい」
私はそう答えた。

実は、最後まで迷った。私なんかでいいんだろうか、とか。
だけど、私を変えてくれたのは、千波くんだったから。

ただひたすら親の敷いたレールに沿って歩いてきた私。もちろん、恋愛なんて、したこともなかったし、そんな時間もなかった。
少し、憧れたこともあるけど
『そんなことはしなくていいから勉強しなさい』
とか
『恋愛なんて、将来なんの役にも立たないんだぞ!?』
なんて言われながら生きてきた。
恋愛だけじゃなくて、他にもやりたいことはあったけど、自分の意見を言うなんてことが怖くて。
今までも、これからも、親の敷いたレールに従順に従って生きていくつもりだった。
『……なんで、言わないの?』
『だって、言わないと奈央のやりたいことは伝わらないんじゃないかな』
だけど、この言葉で気付かされたし、勇気づけられた。
自分のやりたいことって言ってもいいんだなって。