しかも、一時間もかかるらしい。
その時、またノックの音が聞こえた。
「まだなんか悩んでるのか」
兄ちゃんだった。
「ねぇ、兄ちゃん」
「なんだよ」
「……時刻表ってどうやって見るんだっけ?」
「……はぁ?」
思いもよらない質問に兄ちゃんはそんな冷たい声で返してきた。
「時刻表、って。千波、マジで言ってる?」
「……うん」
兄ちゃんは、そんな俺を見て、ちょっと引いたらしい。
だけど、俺が教えてくれと頼み込むと、兄ちゃんは教えてくれた。
「まず、この一番左端の縦向きの数字が時間な」
「うん」
「それで……」
兄ちゃんに教えてもらいながら俺は一つ一つ確かめていく。
「あー、終わったー!!ホント、助かった。ありがと」
「いや、いいけどさ。もう高校生なんだし、さすがに一人で時刻表くらい読めるようになっておかないと、恥ずかしいけどな」
「…なんとか善処します」
兄ちゃんは、まぁ頑張れよ、と言い残して部屋から出て行った。