「なんか、ちょっと普通すぎる……?」
そう言って考えたものの、代案は出なくて
「まぁ、これでいっか」
と決定にした。
兄ちゃんに教えてもらった、海、は最後まで迷ったが結局行くことにした。
とりあえず、一旦終わりで、と思ってルーズリーフを折りたたんだところで、また扉が開く。
このノックをしない遠慮なしな開け方は。
「お兄ちゃん、ご飯。できた」
穂波だ。
「あ、うん。分かった」
「分かった、じゃなくて、もうみんな待ってるから早く降りてきてよ」
「分かったって。今行く」
俺は、半ば穂波に引きずられるようにして、自室のある二階から、リビング、ダイニングのある一階に降りる。


「千波遅っ」
椅子に座る兄ちゃんが、待ちくたびれたとばかりにこちらを見る。
「ごめんごめん」
俺は、軽く謝ると、兄ちゃんの横に座る。
「いただきます」
そう言って食べ始める。家族の食事中のちょっとしょうもない会話なんて、微塵も頭の中には入ってこなくて。