「あー……ホントどうしよ」
俺は、ベッドに寝っ転がり、枕に顔をうずめる。
頭の中に浮かぶのは、奈央の顔。
俺が、そんなに何に悩んでいるのかというと、明日のことだ。


『あのさ、今度の夏休み。良かったら一緒にどっか行かない?』
俺なりに考え抜いて、勇気を出してそう言ったのが一カ月前の話。
あれから、俺はずっと考えている。
「告白…か……」
何度も何度も頭の中で同じようなことばっかり考えて。
でも、いつも答えは同じ。
―—俺は、奈央が好きなんだ。
初めて目が遭ったその瞬間から、ホントに一目ぼれ、というやつだった。
こんなことは初めてで、告白なんて、人生で一回もしたことなんてなくて。


「…あー、ホント分かんない」
そう言って俺はまた枕に顔をうずめる。
もう何度目になるか分からない自問自答を繰り返していると、ノックの音が聞こえた後、扉が開く音がした。
「千波、お前一人で何ぶつぶつ言ってるんだよ」