「……!」
目の前に広がっていたのは、東京湾だった。
「すご…」
「へへ、最後はここで締めくくりたかったんだ」
千波くんはそう言うと、デッキの手すりにもたれかかる。
水平線の向こうから覗く光は、オレンジ色に輝いていて、空とのグラデーションを作り出している。
「綺麗、だね」
「うん」
それから少しの間、海をぼんやりと眺めていた。
だけど、途中でどうしても気になって、ちらちらと千波くんの方を見る。
夕日に照らされた横顔は、すごく綺麗で、目が離せなかった。
千波くんを見つめたまま、時間がゆっくりと穏やかに過ぎていく。
「……」
「…あのさ」
千波くんが手すりから手を離して、こちらををしっかりと見据えた。
千波くんは、真剣な顔をしていた。
―——。
「……え?」
一言告げると、千波くんは黙って斜め下を向いた。
その頬が赤く染まっているのは、気のせいだろうか?
私も、赤くなってしまう。
だって、千波くんが告げた一言は―—。