「うわっ、鼻に付いてる…」
私は、慌てて置いてあった使い捨ておしぼりで鼻を拭く。
「ホント、ごめんねっ。全然気付いてなかった」
「いや、全然いいんだけどさ。面白くて」
「ホントに、恥ずかしい…」


なんて言ってるうちに、楽しい時間も過ぎていって…。
「もうすぐ夕方か」
「なんか、早かったね」
二人で並んで歩きながらそう言う。時刻はもう午後四時。
「今日、奈央は門限何時まで?」
「今日は……七時」
「じゃあ、行けるか」
千波くんは、そう言うとこっち、と手招きして、歩き出した。


そうして、スカイツリー最寄り駅から、徒歩や、電車をを使って移動することだいたい一時間。

「今、どこに行ってるの?」
まだ、行先を知らない私は電車の中で千波くんに訊いてみる。
「さぁ?行ってからのお楽しみ」
「えぇ?どこ?」
ルート的に、お台場方面に行っているのかな、という予感はしていた。

「はい、着いたよ」