『きちんと勉強するなら、七時までは許可するけど、特別だからね?』
とお母さんが最終的に許可してくれた。


「行ってきまーす」
「行ってらっしゃい!楽しんでくるのよ」
「はーい」
私は家を出た。いつもは憂鬱な一日の始まりであるこの玄関を出ると、私はため息なんて吐かずに、軽い足取りで歩き出した。


「……」
やっぱり早く来すぎてしまって、今私はそわそわしながら駅の前で時間を持て余している。
「……あ」
駅の手前の横断歩道の向こう側の道に千波くんっぽい人がいた。
「ごめん、お待たせ」
「あ、ううん!全然大丈夫!」
「じゃあ、電車乗ろっか」
「あ、うん!」
私と千波くんは駅のホームの方へ歩き出した。
「……」
「……」
…ダメだ、何も言えない。
電車の中で隣に座っていても緊張のあまり、言葉が何も出てこなくて、頭も真っ白だ。
何か話さないと……と、必死に考えていた時だった。
「あのさ」
と千波くんが話しかけてくれた。