「…ただいまー」
いつもは少し帰るのが嫌になる家でも、千波くんと会った後だと、気持ちが軽くなるきがする。
「おかえり、期末考査、どうだった?」
「まぁまぁ、かな」
「楽しみにしてるわよ、あ、英語の時間になっちゃうから急いで準備しなさい」
「はい」
いつもは憂鬱な英語の授業も、千波くんと会ったからか、少しだけ楽しかった気がする。


それから一週間後。
「おはよー、奈央!」
「紗月、おはよ」
「ねー、テストの結果出たって!見に行こ!」
うちの学校は、順位が出るテストは基本的にテスト実施日の一週間後に職員室の前に順位と各教科の点数、偏差値が貼り貼り出される。
「あ!奈央…!やったじゃん!」
一位から三百位以上まで張り出られる紙の上位の分の一番上には。
高城奈央。
だけど、私はそれよりもこっちの方がびっくりだった。
二位。水無瀬千波。点差は十点。
「へぇー、水無瀬くん、頭よかったんだねー」
紗月が隣でそう呟く。