場内に明かりがつくと、千波くんは
「感動する話だったなー」
と言いながら私を見て、びっくりしたみたいだ。
「ちょっ、奈央?泣いてる……?」
「あ、いやこれは…ちょっと、感動しただけ」
「いい話だったな、ハンカチ、いる?」
千波くんはそう言うと、鞄の中からハンカチを取り出して、差し出してくれた。
「あ、ありがとう…」
ある程度落ち着いてから映画館を出た。
「そういえば、夏休みどこ行く?」
「ああ、そうだったね」
確かそんな話もあったっけ。夏休みだしなぁ…。多分屋外は暑いから…。
「あ、プラネタリウム」
なんとなく思いついた場所。
「じゃあ、プラネタリウム行く?」
「うん!」
「いつにする?」
「そうだね…」
夏休みが始まって一週間後の日曜日、朝十時に駅で待ち合わせ、ということになった。
「今日は楽しかったね!」
「じゃあ、また来週」
「うん、またね」
私と千波くんは駅の前で解散した。