その後は、お店を出て、なんとなく映画館の中に入る。
「なんか、勢いで入ってきたけど…見る?」
「俺は…どっちでもいいけど…。奈央はなんか見たいのある…?」
「いや……ない、かな?」
特に見たいものはなく、百万部を記録した恋愛小説が原作だという映画を見ることにした。広告も最近よく見かける。
昼間の映画館に人はまばらで、ほぼほぼ貸し切り状態だった。
「……友達と映画館なんて、初めて来たなぁ」
「え、そうなの?」
「うん」
というか、映画館なんて、最近ずっと行っていなかった。何年ぶりだろうか?
なんて、考えていると場内が暗くなり、やがて映画が始まった。
内容は、無気力に生きていた男子高校生が余命一年の女子高校生のクラスメイトに出逢い、恋に落ちる。そして、変わっていくというどこかで聞いたこともなくはない内容だ。だけど、クライマックスのヒロインの女子高校生のセリフに感動し、最初はなんとなく見てみようと思っただけだったが、気付けば涙腺が決壊していた。