「あ……」
そういえば、結局言えないままだった。
「まだ、言えてないんだ」
「……そっか」
「なんか、怖くて……」
自分の夢を言ったところで、それを認めてもらえるのか分からない不安。
否定されるかもしれない、という怖さ。
そんなものが押し寄せてきて、結局言えずにいた。
「……奈央なら大丈夫だよ」
「…へっ?」
「奈央のお母さんやお父さんにはあったこともないし、分かんないけど、奈央の一生懸命夢に向かう姿勢を見せたらいいんじゃないかな」
「……」
「俺が言えるのは、ここまでかな。言うのは奈央だから。俺にできるのは頑張れって言うことだけ」
千波くんはそこまで言うとにこっと笑った。
「奈央ならきっと大丈夫…!」
千波くんの無邪気に笑う笑顔を見て思う。
私、やっぱり千波くんが好きだ―。
この笑顔が私の支えになっているんだなぁ、と思う。
「…うん、ありがとう」
告白なんて、まだ勇気は出ないけど、精一杯の感謝を込めて。