その日は、帰り際にラインだけ交換した。
「……ただいま」
「お帰り、電話したのに、気付かなかったの?」
「……あ」
すっかり携帯のことなんて忘れてた。着信履歴がまたえげつないことになっている。
「ごめん、晩ご飯、ごちそうになっちゃった」
「あら、紗月ちゃんのお母さんにお礼は言ったの?」
「うん」
「それならいいけど…どっちにしろ今日はまだ晩ご飯作ってなかったし。早くお風呂入って、勉強しなさいよ?期末考査近いんだから」
「はい」
お母さんとお父さんには、紗月の家で勉強してくる、と言ったのだ。



「んーっ……眠い…」
それから迎えた期末考査初日。
昨日はいつもよりは少し早めに睡眠をとり始めたつもりだったが、やっぱり眠い。
「行ってきまーす」
「頑張ってくるのよ!!」
お母さんは期末考査だからか、いつもより豪華なメニューにしていた。
「おはよー!奈央」
「あ、おはよ」
「今日は頑張ろうね!」
「うん」