私のせいで、手間をかけさせてしまったかもしれない。そう思って少し申し訳ない気持ちでいると、
「我が家はいつもあんな感じだから、なにも気にしなくていいよ」
と凪沙さんが言ってくれた。
「……はい、ありがとうございます」
私はその言葉を訊いて、感謝の気持ちと同時に胸が温かくなった。
「それで、千波ー。奈央ちゃんとの出逢い、聞かせてよ」
お母さんがそう唐突に振ってきた話題にびっくりして、コップを落としそうになった。もしかして、お母さんも何か勘違いしてる……？
「奈央は俺の彼女、じゃなくて、友達だから」
「またまたー、恥ずかしがらなくてもいいじゃない！ねぇ、奈央ちゃん」
「すみません、千波くんの話、ホントなんです」
「あら……そ、そうなの？ごめんね、変な勘違いしちゃって」
「いえ、全然」
私がそう言うとお母さんはホッとしたように、次の話題を振ってきた。
「奈央ちゃんと千波ってどこで接点があるの？」