「ただいまー」
そんな声が聞こえてきて、これ以上私が長居すると、家族の時間の邪魔になるかもしれないと思い、
「じゃあ、私はそろそろ…」
と言っているところで、部屋に千波くんの妹さんとお母さんが入ってきた。
「お兄ちゃん？誰、その人」
「俺の友達、高城奈央」
「奈央、ちゃん？こんにちは」
千波くんのお母さんに挨拶され
「こ、こんにちは！」
と少し噛んでしまったが挨拶とした。
「あ、すみません、私、こんな時間まで」
そう言ってお邪魔しました、と部屋を出て行こうとすると、
「ちょっと待って」
と千波のお母さんに引き留められる。
「奈央ちゃんさえよかったら、家で晩ご飯食べて行かない？今日の朝、千波から聞いてたのよ、お昼から数学教えてもらうって。そのお礼に、よかったら」
「いや、でも…」
私がいたら迷惑ではないだろうか？
「え、いいじゃん！奈央さんだっけ？晩ご飯、食べて行ってよ。お兄ちゃん、学校でどんな感じなのか知りたいし」