「奈央(なお)、今日は学校から帰ってきたらすぐ塾ね」
「……はい」
「いってらっしゃい!」
「…行ってきます」
私は、お母さんのニコニコとした笑顔に背を向けて、家を出た。
「はぁ……」
玄関の扉に鍵がかかった音がした瞬間に私はため息を吐いた。
私、高城奈央(たかしろなお)の毎日はこんな感じだった。親に決められた高校を受験して、親に決められた習い事をして、親に決められた大学を進学先として目指して、親に決められた職業を将来の夢にして──。
生まれてきてからほとんど、親の敷いたレールに沿って歩いてきた。
「奈央!おはよ」
「あ……おはよ」
教室に入ると、友達の紗月が話しかけてくる。
「元気ないなぁ、今日転入生来るらしいよ。奈央は女子と男子だっちだと思う?」
「え……さぁ?」
「あー、楽しみ!!」
そういえば今日はいつもより少し、教室がにぎやかな気がする。
高校一年の六月の末に転校なんて、早いなぁ。なんて、考えていると、担任の佐藤先生が入ってきた。
「……はい」
「いってらっしゃい!」
「…行ってきます」
私は、お母さんのニコニコとした笑顔に背を向けて、家を出た。
「はぁ……」
玄関の扉に鍵がかかった音がした瞬間に私はため息を吐いた。
私、高城奈央(たかしろなお)の毎日はこんな感じだった。親に決められた高校を受験して、親に決められた習い事をして、親に決められた大学を進学先として目指して、親に決められた職業を将来の夢にして──。
生まれてきてからほとんど、親の敷いたレールに沿って歩いてきた。
「奈央!おはよ」
「あ……おはよ」
教室に入ると、友達の紗月が話しかけてくる。
「元気ないなぁ、今日転入生来るらしいよ。奈央は女子と男子だっちだと思う?」
「え……さぁ?」
「あー、楽しみ!!」
そういえば今日はいつもより少し、教室がにぎやかな気がする。
高校一年の六月の末に転校なんて、早いなぁ。なんて、考えていると、担任の佐藤先生が入ってきた。