千波くんは私の視線に気づいていないようで、ずっと黒板を眺めている。
「じゃあ、今年の委員会は、これで決定ですね」
委員会決めは、特に希望が被ることもなく、平和に決まった。
次に委員会決めがあるのは、来年の春らしい。
うちの学校の図書委員会は、他の委員会に比べて放課後まで仕事があることも少ないので、ちょうどいいだろう。

それから、期末考査も近づいてきた時、委員会活動が始まった。
「……」
「……」
図書委員会になってからの初めての仕事。
昼休みは学年ごとに毎日交代制でカウンター当番をするらしいのだけど、全然人がいなくて、暇だ。
「奈央」
「……へっ?」
ぼーっとしていた所為で、唐突に話しかけられて素っ頓狂な声を出してしまった。
「なんか……暇だな」
「そうですね」
昼休みが始まってからずっと二人でカウンターの中の椅子に座っているが、一人も貸し出しコーナーには来ていない。
「奈央ってさ…、放課後絶対すぐ帰るけどさ」