一瞬だけ視線をわたしに向けたユイくんに決心がつく。

自分で決めたことをやり通してみようと。

どんな結果になったとしても、わたしはそれを受け入れる。

何か行動する時には、それ相応の覚悟が必要だ。


街灯に沿って進むとネオンサインに挟まれた道になる。

ユイくんの横顔がショッキングピンクや蛍光の黄色、真っ白など様々な色がつく。

それがおもしろくて、この派手な道を通り抜けるまでずっと見つめていた。


「じゃあな」
「うん」
「また、何でも話して」
「いつも話してるよ」
「それならいいけど」


本当に全部話してるのに、疑っている様子のユイくんはたぶん心配してくれているから。

ユイくんはお兄ちゃん並みに心配性だ。

シートベルトを外していると、わたしの頭を優しくポンポンとした。

小学生の時もたまにしてくれていた。

それはどんな時だったのか記憶は曖昧だけど、確かこんなふうに別れ際だった気がする。

こうして頭を撫でられると帰るのが少しだけ寂しくて離れがたくなる。


「またな」
「またね」


ゆっくりと丁寧にシートベルトを戻して、ドアを開けて車から降りる。

手を振って玄関のドアを開けて、家の中に入ると少ししてエンジン音。

靴を脱ぎながら、その音を耳に入れた。