「そっか。あたしはいじめとかする人は大嫌いだから、意識的に関わりたくはないけど、莉緒ちゃんがそうするって決めたならいいと思うよ」
「美紅ちゃん、ありがとう」
「確かに意識してるのも癪だよな。無視って一番相手を気にしていないとできないし」
「ほんとそうだよね」


相手がどこにいて視界に入れないようにって、視界にいれるよりも意識を向けていないとできないことだ。

周りと変わらず、誰かを上にも下にも見ない。

ある意味無関心ともとれるかもしれないけど、わたしがされて嫌で一番つらかった無視や蔑む行為を他人にしない。

自己満足でもそれが一番自分にとって救われる方法だと思う。

嫌いな人に関わりたくないのも当然で、嫌いって意識するのが嫌だと感じるのも当然で。

様々な考え方がある中で、自分は選択して、誰かが選択したものを受け入れていける。

それだけで十分だ。

何にもとらわれず、自由な世界でいたいから。


「嫌な思いしない?」
「全然だよ。自分がしたいことをしたい」
「莉緒は気を遣いすぎだね」
「わたし、本当に二人と友達になれて良かった。声かけてくれてありがとう」
「急に改まってどうしたの」
「あたしも莉緒ちゃんと友達になれて嬉しいよ」


自分の思いをこうして伝えると言うことが前はできなかった。

ミライちゃんの時も思い切って自分の思いを伝えていたら、いまとは違ったのかもしれない。

なんてたらればを言ったところで過去は変えられないのだから、前に進むしかない。

失敗したと思う過去も今に繋がっているから、後悔だけで終わっていない。


わたしは前に、進んでいる。