「やっぱりみんなが手と手をとりあって、受け入れて肯定して寄り添えたらいいなって思う。間違ってたら間違ってるって伝えて、意見が違ってもわかりあえるまでとことん素直に話し合えるような世界になったらいいなって」


争いのない世界が言いに決まっている。

お互いが尊敬しあい、尊重しあえる関係で。
横一列になって歩んでいけたらそれがいい。


「理想論だね」
「理想論だな」


理想が一番いいのがわかっている。

だからそれを理想と言う。

だけど理想は理想のままになってしまうのもわかっている。

それが現実だから。


「世界は無理でも、わたしだけなら理想に近づくことはできるんじゃないかな」
「意識するだけで、努力するだけで、人はなんにでもなれるよ」


自分の気持ち次第ってことだ。

人は無限の可能性をもっている。


「でもこの理想ですら、誰かにとっては善だけど他の誰かにとっては悪にでもなる。全員が幸せになれる理想はない。それは理想ではなく傲慢だ」


強い言葉。
ユイくんのいままで生きてきた上での経験。

形成され染みついた考え。

きっと核の部分だ。


「自由なんて誰にでもあるようで、本当は生きるって不自由だ」
「それは持論?」
「うん、持論」


ユイくんをユイくんたらしめるもの。

ユイくんもきっとわたしや他の人も知らない経験をして、様々な感情を抱いて、考えて悩んでいまここにいる。

わたしも壁にぶつかって悩んで考えて答えを出した。

これはわたしの核になる。