「今度莉緒ちゃんを傷つける人が出てきても、守るからね」
「友達だし」


本当か、嘘かはわからない。

この狭い学校という世界で、ましてや十七年くらいしか生きていない人が何から守れるというのだろうか。

誰かを守るということはそんなに簡単ではない。


「ありがとう」


それでも素直に“友達”と言ってくれたのは嬉しかった。


「莉緒?」
「莉緒ちゃん?」


思っていたよりも嬉しかった。

誰も信じられなくて、全部嘘みたいで、みんな体裁しか気にしていないみたいで、全員が敵に見えていた。

こんな捻くれたわたしを友達と言ってくれる人がいる。

荒んでわたしを守ってくれる友達なんているわけない。
これからもできることはないと思っていた。

上辺だけの言葉かそうでないかは、不思議とちゃんとわかるものだ。


「どうしたの?」
「つらい? 苦しい? 嫌なこと言っちゃった?」


心配した表情でわたしの顔を覗き込む二人の顔は歪んでいる。

視界いっぱいに涙が溜まった。

わたしは必死に首を横に振る。


「友達って言ってくれたのが、嬉しくて……」


涙袋に溜まった涙を指で拭う。

クリアになった視界に二人の顔が鮮明に映った。

きょとんとしてからゆっくり二人で目を合わせる。


「莉緒は友達って思ってなかったの?」
「圧かけちゃだめ。そうだよね。人間不信になっちゃって誰も信じられなくなるよね」
「えっと、あの……うん」


戸惑いながらも正直に頷く。

まさかここで寄り添うような言葉をかけてもらえるなんて思っていなかったから。


「あたしもね、中学の頃いじめというか無視されている時期があったからわかるよ。誰も信じられなかった。みんなが敵だと思った」


わたしと一緒だ。

今、まさにその状況にいるから。