「そのあとにわかってくれたらいいな。変わってくれたらいいな」
「そうだな」


静かに同意してくれる。

まだ、答えはわからない。

どうしたいのか、何がしたいのか。

わたしは何になりたのか。

気が付けば星は分厚い雲に覆われていた。

今、これ以上考えたところで何もわからない。


「たくさん考えたらいいよ。一度考えだすとずっと考えてしまうものだから。でも、一人で抱えず俺に話して。話して整理されることもあるから」
「うん。ありがとう」
「じゃあ帰ろうか」


結局考えれば考えるほど難しくてドツボにはまっていくけど、それでもとことん考えたくなってしまう。

助手席に戻りシートベルトをつける。

動き出した車はゆっくりとぐねぐね道を下って行く。

百八十度カーブもあり、安全運転してくれているけど体は大きく左右に揺れる。

ぐわんぐわんと動く体はわたしの思考みたいにあっちにいったり、こっちにいったりと回ったけど、体はすぐに戻ってくる。

体は止まっても思考だけが回り続けていた。