学校近くのコンビニに着くとユイくんだけが降りて行く。
たまにコンビニに寄るけど、その時もユイくんだけ降りてわたしは車の中に残される。
降りたい気分の時もあるのに、それを伝える暇もなく行ってしまうからユイくんはせっかちなところがあると思う。
別にそれで困ることはないから気にしないけど。
シートに深くもたれかかって呼吸を整える。
今日の出来事が遠い昔のように感じる。
夢でも見ていたみたいだ。
何かを思い出す時って第三者としてそこにいた気がしてしまうから不思議。
「お待たせ」
ドアが開き優しい声が聞こえてユイくんを見ると、いつも以上にパンパンのビニール袋。
たくさん購入したことが一目瞭然。
やっぱりお腹が空いていたんだ。
そして、お腹が空いていてもどこかに寄らずわたしのことを待っていてくれたんだ。
ユイくんの優しさをここでも感じることができる。
「これやる」
「ありがとう」
何かわかっていないけどユイくんから受け取る。
手の中にあるものをコンビニの店頭の明かりで確認すると、いちごみるくとメロンパン。
甘いものと甘いもの。
わたしの大好きな組み合わせだ。
「ありがとう」
ものがわかってもう一度お礼を伝える。
ユイくんは短い返事をして、ビニール袋からおにぎりを取り出すとすぐにかぶりついていた。
さすが男性、なのかユイくんのほうが少数派なのか。
三口でおにぎりはなくなってしまっていた。
メロンパンがちょうど半分に到達した時にはおにぎり三個を胃の中に収めて、デザートのプリンもなくなっていた。
食べた後は袋にまとめてからコンビニ前のごみ箱に捨てに行っていた。
まだ、わたしはメロンパンは後半にさしかかったばかりなのに。