「ユイくんも学校に来たら?」
「あ、まだ森ちゃんいるんだっけ?」
「いるいる。高校生より高校生みたいにはしゃいでる」
「変わってねぇな」
ユイくんの部活の顧問の先生はまだいて、今わたしは数学を担当してもらっている。
懐かしむような表情をしている横顔がよく見える。
明るいとユイくんの顔がしっかり見れるから嬉しい。
やっぱり整った綺麗な顔。
特に横顔はユイくんの端正な顔立ちを際立たせる。
「……何?」
「え? 何が?」
「見すぎ」
運転中だから気づかれないと思って少し油断していた。
焦って顔を前に向ける。
けど、時すでに遅し。
「あんま見んなよ」
ユイくんに低い声で言われてしまった。
「……照れんじゃん」
しょんぼりしているとぼそっと呟かれた言葉が耳に届く。
意味を理解してから視線をユイくんに戻すと、髪の隙間から覗く耳がほんのり赤く染まっている。
なんだ。照れているだけか。
ユイくんも照れたりするんだ。
嬉しくなって頬が緩む。
楽しいな。
ユイくんの隣は。
昇ったばかりの太陽に照らされながら車は走る。
そして楽しい時間は本当にあっという間ですぐに終わりを迎えた。
ユイくんは気をつかって、あまり人通りがない裏門のほうに車を停めてくれる。
「じゃあ放課後迎えに行くから待ってろよ。でも、無理はしないこと」
「うん、わかった。ユイくんありがとう」
カバンを持って車から降りる。