閉め忘れたカーテンから太陽の眩い光が差し込んできた。
目を閉じているにも関わらずキラキラとした光が瞼の裏まで届く。
もう日付けが今日になるころに、家に帰ってきてすぐに眠ってしまった。
いつもは憂鬱な朝が少しだけ気持ちいいものに感じる。
ベッドから起き上がり、学校に行く支度をする。
足もなんだか軽い。
これは紛れもなく昨日のドライブのおかげ。
ユイくんのおかげだ。
学校へ行く支度を終えて、お母さんに声をかけてから家を出る。
「はよ」
家を出てすぐ目の前にはユイくんがいた。
昨日の帰り際に約束していたんだ。
朝にドライブしようって。
だからいつもより早く家を出た。
こんなにわくわくする朝は初めてかもしれない。
「乗って」
ユイくんが昨日と同じように助手席のドアを開けて促してくれる。
今日は躊躇することなく乗り込んだ。
こんな明るい時間にユイくんの車に乗るのは初めてで、少しドキドキしてしまう。
下のボトルホルダーに小さなくまのぬいぐるみが入っているとか、助手席の前の収納スペースにサングラスがあるとか、今まで気づかなかったことに気づく。
同じ空間なはずなのに、夜とは別世界に感じる。
朝の街並みを車窓から眺める。
なんだか澄んで見えるから不思議だ。
車で登校なんて高校生になってからは入学式以来で、しかもそれがユイくんの運転だなんてわくわくしないわけがない。