両親とも仕事で家にいないから、帰ったところでいつ帰ったのかわからない。
家に帰ってすぐにシャワーを浴びる。
汚れた制服ごと頭からお湯をかぶった。
制服や肌についた汚れは流せば落ちて消える。
でも、倒れた時や蹴られた時の痣が洗い流されることはない。
土足で踏みつけられ汚れた心も、汚れたまま。
全て流してしまえればいいのに、人生はそんな簡単なものではない。
この世界は複雑に絡み合って回っている。
回れば回るほど、どんどん複雑になり絡まって解くことが難しい。
わたしは絡まって身動きが取れなくなった操り人形みたいに、自分の意思でも他人の命令でも動かせなくなってしまった。
心はもう、ぐちゃぐちゃだ。
ベッドに入って目を閉じる。
眠ってしまえば何も考えなくて済むのに。
ベッドに寝転んでも目が回るほど様々な思考がぐるぐると駆け巡り休むことができない。
気が付けばユイくんがいつも迎えに来る時間になっていた。
ドライブしたい。
ユイくんと話したい。
でも、わたしは学校をさぼった。
何より昨日、ユイくんを傷つけた。
そんな状況で会えるわけがない。
だけどもうキャパオーバーだよ。
わたしにはこれ以上耐えることはできない。
また、悪魔が囁いている。
このまま落ちていけたらいいのに。
もう目を覚まさなくてもいい。
枕に顔を埋める。
真っ暗な世界。
その闇はわたしだけを包み、希望なんてなかった。