「せっかくあんたみたいなやつに大野くんが優しくしてあげてたっていうのに最低だね。大野くんが可哀想」


確かにわたしは大野くんに対して最低なことをした。

それはわたしも認める。

でも、それはわたしと大野くんの問題だ。

この人たちは全く関係ない。

大野くんにはどれだけ責められて罵声を浴びせられて嫌われても仕方ない。

それだけわたしはひどいことをした自覚がある。

けど、この人たちに言われる筋合いは何ひとつない。

そう思うのに、言い返すことができない。

これが、周りを敵に回すということ。
味方がいないということ。

その後のことは恐怖で何をされたのか覚えていない。

この図だと集団リンチみたいだから、と無理やり立ち上がらされ罵声と暴力を浴びたのは頭と体の痛みが教えてくれた。

朦朧とする視界でミライちゃんを見つけたけど、わたしに冷たい視線を送って来ただけだった。

胸がキリッと痛む。

自分が傷つけられることも、他人を傷つけることも、すごく痛い。怖い。苦しい。



わたしはこの日、生まれて初めて学校をさぼった。