「……ユイくっ……ユイくん……!」
「ん、もう自分を苦しめるくらいに我慢すんな」


本当は我慢なんてしたくない。

もうしたくなかった。

こんな世界、終わればいいって願うくらいには限界だった。

ユイくんの優しさに涙が止まらない。

波の音を聞きながら、体操服の袖で涙を拭った。

わたしが泣いている間、ユイくんは何も言わずにただ買ってきたバーガーやポテトを食べていた。

ひとしきり泣いて落ち着きを取り戻してからわたしも食べ始める。


「……微妙」
「でも、お腹空いてたらおいしいだろ?」
「うん」


ユイくんに話を聞いてもらって、たくさん泣いたらスッキリした。

辺りはオレンジ色から深い藍色に変わっている。

これだけ泣いたらお腹は空く。

お腹が空いたと感じるのも、数週間ぶりだ。

冷めきった期間限定のチーズたっぷりのバーガーにかぶりつく。


……おいしい。
すごくおいしい。

おいしくて、止まったはずの涙がまた頬を伝う。

溜め込んできた分が今、いっきにあふれてしまっている。

感情のタガが外れてしまったらしい。


「泣き虫になったな」
「……ユイくんのせいだよ」
「俺のせいかー」

ははっと声を出して笑われる。

ほんと、ユイくんのせいだよ。

昔からあんまり泣かないタイプだったから、自分でもびっくりしている。

ユイくんが優しいせいだよ。

わたしの気持ちを汲み取ってくれるから。
我慢しかできないわたしから、我慢を奪ったから。


「泣け泣け。いっかいぜんぶ出し切れ」


笑っているユイくんは、おもしろがっているのかもしれないけど、それ以上に優しさが伝わってくるから不思議だ。

でも、笑われることに対してはムッとしてしまう。

泣きながら、拗ねながら、パクパクと手を止めることなく口に詰め込んでいく。


変なの。
感情がぐちゃぐちゃだ。


「わたしは、これからどうすればいいかな……?」


ぜんぶ出し切ったら、そんな疑問が出てきた。

食べ終わった包み紙を袋に入れてから、体育座りで膝に顔を埋める。