「うざい」


仲良しだと思っていた友達からの突然の敵意。

理由がわからなければどうすることもできない。

夏休みにいきなり連絡が途絶えてしまったけど、ケンカをしたわけではない、とわたしは思っている。


「何その目。もしかして何もわかってないの?」


睨みはそのまま、ドスをきかせた声にビクビクしながらも正直にこくりと頷いた。

わからない。
ミライちゃんが何に怒っているのか。

どうしてわたしにこんなに冷たい視線を向けるのか。

わたしには何もわからないんだ。


「何であんたが被害者面してるわけ? 裏切られたのはうちのほうなんだけど。大野くんのこと好きなの知ってるくせに二人きりで会って、キスまでして」
「え……」
「おとなしそうな顔して、平気でそういうことするんだね。うちに隠れて秘密の恋して楽しかった?うちのこと裏で馬鹿にしてたんだよね」
「違う! それは誤解で」
「証拠もあるんだけど」


手に持っていたスマホの画面をわたしに見せてくれる。

恐る恐るその画面を見ると、そこにはいつのまに撮られていたのか。

わたしと大野くんの重なる影。


………運が悪いとしか言いようがない。


あの日はわたしはたまたま、大野くんもたまたま、あの公園に寄った。

本当に偶然だった。

そこに、誰かがたまたま通りかかってこのタイミングで写真を撮ったんだろう。

偶然がいくつも重なりこんなことになってしまった。