家に帰ってから、おつかいの品をリビングのテーブルに置いてすぐに自分の部屋に行った。
蒸し暑い部屋の中、冷房もつけずに考えるのはさっきの出来事。
……ミライちゃんに言ったほうがいいのかな。
大野くんのこと、ずっと好きだって聞いているから正直言いづらい。
知ったらどう思うかな?
好きな人が友達に告白してキスしたなんて……嫌に決まってる。
知りたくない。裏切られたって思う。
理由なんて聞いてもらえないんだろうな。
だってミライちゃんは本当に大野くんのことが大好きなんだもん。
いつも大野くんを見るだけで幸せそうに頬を赤らめている。
でも、だからといって、言わないのはどうなんだろう。
迷っている時に、タイミングが良いのか悪いのか。
スマホがピコンっと鳴ったから確認をすると、ミライちゃんからのメッセージだった。
内容は、夏休み前に一緒に行く約束をしていた夏祭りについてのことだった。
……友達だからこそ、言わなくていいこともあるよね。
《大野くんにバッタリ会っちゃったりしてもいいように、気合い入れていかなきゃ!》
最後の一行を読んで、今日のことは言わずに秘めておくと心に決めた。
言わなければ、なかったと同じだ。
わたしだけの秘密にして忘れてしまえばいい。
――だけど、それが間違いだったんだ。
友達だからこそ、言わなくていいことは確かにある。
でも逆に、友達だからこそ言わなくてはいけないこともあったんだ。