店員さんに注文するとそんなに待たずに出てくる。

ユイくんが餃子も頼んでくれて、お腹が爆発しそうなくらいに膨れてしまった。

すごくおいしかった。

何か食べている時はほとんど会話はない。

たまに話したりするけど、基本的には黙々食べる派だ。

ユイくんには無理して話す必要はないし、話したい時はたくさん話しても聞いてくれるからすごく居心地がいい。

ユイくんの隣はとても落ち着く。

お腹を少し休ませて動けるようになってからお会計をしてお店を出る。

当然のようにユイくんがお支払いをしてくれた。


「ありがとう」
「別にいいよ、こんくらい」
「わたしはいつユイくんに奢る?」
「ガキは変な気を遣わなくていいんだよ」


毎回ユイくんが支払いをしてくれるけど、嫌な顔ひとつしない。

ユイくんももうすぐ卒業とはいえまだ学生なはずなのに、わたしはいつも甘えてばかりだ。

お金はあるのかな?
バイトはしている?


そういえば今のユイくんのことをわたしは何も知らない。

毎日のようにドライブしているけど、わたしの話ばかり聞いてもらってユイくんのことを聞いていない。


「ユイくんの話も聞きたいな……」


車に乗ってすぐにポツリと言葉があふれる。

気持ちがあふれる。


「いくらでもするけど、莉緒の話を聞いたあとでな」
「今日してくれる?」
「莉緒が話したいこと、話し終わったらな」
「先は?」
「だめ。俺が莉緒の話を早く聞きたい」
「今日だけ」
「だめ」
「絶対に?」
「絶対に」


めずらしくユイくんが引いてくれない。

わたしのお願いは基本的にはすぐに受け入れられるのに。

わたしも絶対に今すぐってわけでもないから、ユイくんの絶対を受け入れる。

これがただのユイくんのわがままなのか、わたしのためなのかはわからない。

どっちだとしても、このどちらでもなかったとしても、ユイくんがわたしよりも考えているのは確か。

ユイくんの考えていることがわたしにはわからないのも、悲しいけど事実だ。