きらめき世界で夜な夜なドライブ




今日も普段と大きく変わらない生活を過ごした。

何かをしても、しなくても、世界は変わらず回っている。


「お疲れ」


学校を出るといつもの場所に見慣れた車が停まっていて声をかけられる。

日が落ちるのが早くなりあたりはもう薄暗い。

空にはすでに一番星が輝き始めていた。

声の聞こえたほうに顔を向けるとユイくんがいつもと変わらないクールな表情でわたしを見ていた。

目が合うと少しだけ笑ってくれる。


「早く乗って」
「うん」


急かされて助手席のドアを開けて車に乗り込む。

シートベルトをつけると車がゆっくりと動き出した。

車内にはめずらしく女性ボーカルのバンドの曲が流れている。

明るくキラキラした曲調でユイくんもこういう曲を聴くんだなって新たな一面を知ることができた。

清々しいほどの歌声に初めて聴いたわたしも二回目のサビを鼻歌で歌ってしまう。

一度聴いたら頭に残る。

華がありこの人にしか出せない歌声。
唯一無二のものだな、と思う。


「今日はどっかで食べるか?」


少しして尋ねてくれる。

食べたいもの。

今日はなんとなく、ずっと食べたいものがあった。


「ラーメン食べたい」
「はいはい」
「ユイくんは?」
「ラーメンの気分」
「やった」


わたしに合わせてくれたユイくんは車をラーメン屋に向けて走らせる。

なんだかラーメンが無性に食べたい気分だった。

麺類が恋しくなる時ってあるよね。
今から何を頼もうか、頭の中で考える。

ラーメンのチェーン店に着き降りる。

夕飯時だったけど、人は少なくて席を選ぶことができた。

並んでカウンター席に座る。

目の前で頑張っている姿を見ると、よりありがたみが増すよね。


「しょうゆラーメンに煮卵つけていい?」
「どうぞ。てか当然のように聞いてくんだな」
「わたしが払う?」
「ガキに払わせねぇよ」


じゃあどういう意味でそう言ったのか。
深く聞くことでもないと思い聞かないけど。