はじめは“意見が違う”“わかってない”と否定的に思うことでも、もう一度考え直せば違う見え方ができる。
「そういう考え方もあるんだ」と、自分とは違う考えを受け入れていけたらいいのに。
そうすればたくさんの考え方や意見が集まって豊かになるのに。
でも、そうじゃない。
そうじゃないからこそ、この世界は難しくて複雑で、それでいておもしろいのかもしれない。
「莉緒も悪いとこあったよ」
横目でわたしを見ながらはっきりと言い放ったのはミライちゃんだった。
久しぶりにわたしに向けられた言葉に一瞬驚くも、すぐに表情を戻す。
「そうだね。もっとちゃんと話せばよかったって思ったよ。嫌われるのが怖くて、大事なことは何も言わなかった。ごめんなさい」
頭を下げる。
わたしに悪い部分は確かにあった。
「でも、ミライちゃんも悪いとこあったと思う」
「うん。見捨てた。ムカついてたから。ちゃんと話を聞いてあげればよかったかもね。ごめん」
今度はミライちゃんが頭を下げた。
こんなにあっさりお互いに謝りあえるなんて思わなかった。
きっとずっと考えていたからだ。
わたしも、ミライちゃんも。
どうしてこうなってしまったのか。
何が悪かったのか。
そして自分の答えを見つけた。
そうでないとこんなにすんなりと言葉は出てこないから。
「まぁ、今さらそんなことどうでもいいけどね」
「うん」
「じゃ」
目線だけわたしに向けて、背中を向ける。
友達関係なんてすぐに壊れる。
だからもっと大切にしなくてはいけなかった。
慎重に、大胆に、繊細に、素直に、言葉にしなくてはいけなかった。
ミライちゃんとは今さらになってしまったけど、わたしは今後の教訓にしていくよ。
高校生って小学生みたいに「ごめん」で仲直りとはいかないんだよね。
ケンカした次の日にまた一緒に遊ぶ。
そんな純粋さはない。
謝っても修復できないものもある。
それもまた、仕方のないこと。
寂しいけど仕方ない。
こうして、世界を知っていく。