海堂さんを愛していないなんて嘘、彼を愛している。

たとえ、海堂さんが自殺した彼女を愛し続けているとしても、私は彼を心の中から消し去ることは出来ない。

海堂さんを想いながら生きて行こうと決めた。

出来れば彼の側にいられるのであれば幸せだけど、私が三神さんの息子さんと結婚すれば、彼の会社も彼自身も助かると三神さんは約束してくれた。

私はこれから海堂さんの為に生きていく。

海堂さんの背中に私も連れて行って！と叫びたい言葉を飲み込んだ。

一瞬振り返った海堂さんと目が合った。

必死に私はあなただけを愛していますと訴えた。

海堂さんは気づいてくれただろうか。

振り返った時ちづると目が合った。

ちづるは何かを俺に訴えかけていた。

俺が感じ取ったちづるの気持ちがたとえ勘違いだったとしても、俺は後悔はしない、ちづるを奪い返す、必ず。

俺はしばらく会社の立て直しに奮闘した。

そして会社宛に一通の封筒が送付された。

ちづるの署名が入った離婚届けだった、返信用封筒と共に。