翌朝の目覚めは最悪だった。寝不足という体調不良に加えて、昨日の学校のことが脳裏に蘇った瞬間、私はトイレから出られなくなってしまった。
そんな私の様子に不安を感じたのか、お母さんは私を病院に連れていくことに決めたみたいだ。これまで何度も病院には行ったけど、決まって異常なしの検査結果と心療内科を案内されるのがオチだから、私は頑なに病院に行くことを拒み続けた。
結局、押し問答の末に部屋での安静を勝ち取った私は、パートに出かけるお母さんに罪悪感を抱きながらも、気ままな一人の時間に浸ることにした。
――本当に不思議な人なんだよね
ベッドに寝転んですぐに思い浮かんだのは、浦川くんのことだった。浦川くんとはほとんど接点はなかったのに、妙なきっかけでおかしなことをする仲になってしまった。
そのおかげで、浦川くんのことが少しだけわかった。浦川くんの両親は離婚していて、浦川くんは血の繋がりのないお父さんと一緒に暮らしている。その時点で複雑な環境というのはわかるし、さらに浦川くんはお父さんに頼まれて泥棒もしているから、浦川くんという存在が普通じゃないことは間違いなかった。
――でも
脳裏に浮かぶ浦川くんの顔が、悲しげに曇っていく。家族のことを語った時にみせた寂しげな表情が印象的だったからこそ、浦川くんの本当の気持ちが見えたようにも思えた。
――だから、幸せを探しているのかな?
浦川くんが幸せを探している理由。それは、自分が不幸な環境にあるからこそ、追い求めていようとしているのかもしれない。
――でも、幸せって本当になんだろう?
これまで幸せの意味を真面目に考えたことはなかった。私がどうかといえば、もちろん私は不幸の部類になるのは間違いない。でも、だからといって不登校になる前は幸せだったかというと、正直よくわからなかった。
それに、昨夜見た光景が意外過ぎて、幸せの定義をますますわからなくしていた。お金持ちという憧れしかない世界にいるのに、あの女性からは幸せの欠片さえも感じられなかったからだ。
何度も寝返りをうちながら色々考えてみたけど、結局答えがでるわけもなく、ただ意味のない時間だけが過ぎっていった。
そんな私の様子に不安を感じたのか、お母さんは私を病院に連れていくことに決めたみたいだ。これまで何度も病院には行ったけど、決まって異常なしの検査結果と心療内科を案内されるのがオチだから、私は頑なに病院に行くことを拒み続けた。
結局、押し問答の末に部屋での安静を勝ち取った私は、パートに出かけるお母さんに罪悪感を抱きながらも、気ままな一人の時間に浸ることにした。
――本当に不思議な人なんだよね
ベッドに寝転んですぐに思い浮かんだのは、浦川くんのことだった。浦川くんとはほとんど接点はなかったのに、妙なきっかけでおかしなことをする仲になってしまった。
そのおかげで、浦川くんのことが少しだけわかった。浦川くんの両親は離婚していて、浦川くんは血の繋がりのないお父さんと一緒に暮らしている。その時点で複雑な環境というのはわかるし、さらに浦川くんはお父さんに頼まれて泥棒もしているから、浦川くんという存在が普通じゃないことは間違いなかった。
――でも
脳裏に浮かぶ浦川くんの顔が、悲しげに曇っていく。家族のことを語った時にみせた寂しげな表情が印象的だったからこそ、浦川くんの本当の気持ちが見えたようにも思えた。
――だから、幸せを探しているのかな?
浦川くんが幸せを探している理由。それは、自分が不幸な環境にあるからこそ、追い求めていようとしているのかもしれない。
――でも、幸せって本当になんだろう?
これまで幸せの意味を真面目に考えたことはなかった。私がどうかといえば、もちろん私は不幸の部類になるのは間違いない。でも、だからといって不登校になる前は幸せだったかというと、正直よくわからなかった。
それに、昨夜見た光景が意外過ぎて、幸せの定義をますますわからなくしていた。お金持ちという憧れしかない世界にいるのに、あの女性からは幸せの欠片さえも感じられなかったからだ。
何度も寝返りをうちながら色々考えてみたけど、結局答えがでるわけもなく、ただ意味のない時間だけが過ぎっていった。