「そうだ奈々美。学校はどうする?」
「え?」
「今は休学扱いになってるけど、今復学しても出席日数が足りなくて多分留年になっちゃうと思うからそのまま戻るのもどうかと思って。ほら、……気まずい気持ちもあるだろうしやりにくいだろうから。他の学校に転校してもいいのよ?私が通ってた高校も近くにあるから、そこでもいいし」
そういえばその問題があった。
長い間休んでしまったため、今の同級生と一緒に三年生に進級するのは難しいと、広瀬先生からも聞いていた。
「どうしよう……」
学年が変わると言っても校内ですれ違うことは少なからずあるだろう。私は何も覚えてないからいいけれど、その時に相手に気まずい思いをさせてしまうかもしれない。
かと言って同じ学校に通っていた方が、記憶を取り戻す手がかりもあるかもしれないし。
それに、夢で見たことも気になる。
立花さんも後日制服をくれると言っていた。
でもお母さんの顔を見ると、留年してまで今の学校に留まることを勧めはしないようだった。
むしろ、転校を進めているような……。
「……すぐには決められないかな」
「……そうよね。そんなすぐ決めることじゃなかったわね。ごめんね奈々美。学校のことはこれからゆっくり考えようか」
どうせ進級できないのなら、急ぐ必要は無いだろう。
焦ったようなお母さんの表情に、一つ頷いた。