「美優ちゃんはすごいね」
「え?」
「私、美優ちゃんが同室になってくれて良かった」
「えー?奈々美ちゃん急にどうしたの?恥ずかしいよ」
「ふふっ、言いたくなっただけ」
「えー?変なのー」
美優ちゃんを見ていると、その強さに自然と励まされているような気持ちになる。
美優ちゃんがこんなにも笑顔で頑張っているんだ。それなら、私も暗い顔なんてできない。記憶を取り戻すためにも頑張んなきゃ。
そう思わせてくれる。
龍之介くんは私のそんな気持ちをよくわかっているのか、何も言わずに私たち二人の頭をくしゃくしゃと撫でてきて。
「ちょっとお兄ちゃん!?急に何!」
「龍之介くん!ちょっと!髪ボサボサになるって!」
「二人とも頑張りすぎだから。ちょっとは肩の力抜けよ」
それだけ告げて帰って行った龍之介くん。美優ちゃんとお互いの髪の毛を見て笑い合いつつ、
"肩の力"かあ。と布団に入った後にしばらく考え込んでいた。