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「……悔しかったらしい」


「悔しい?」


「あぁ。……あいつ、ああやって毎日ヘラヘラ笑ってるけど、本当はそんな精神状態じゃないはずなんだよ」



翌日。


お見舞いに来た龍之介くんから美優ちゃんの様子を聞いて返ってきた言葉に、私は数回頷いた。



「あいつ、本当は推薦で高校に進学するはずだったんだ」


「……大会出られなかったから、推薦取れないって言ってたよね」


「そう。しかも今回の怪我で、もしかしたらもう今までみたいに走ることはできないかもしれないって言われてんだ」


「そう、なの?」


「足の骨折がやっぱり酷いらしい。それ知って落ち込んでたところに部活の友達たちが来て。自分だけ取り残されたみたいで悔しかったんだって言ってたよ。もう推薦が狙えないから必死で勉強してるのに。これからも走るために勉強してるのに、馬鹿にされた気がしたって」


「そ、っか……」



きっと、あの部活のお友達も皆悪意があってあんな風に言ったわけじゃない。


多分美優ちゃんもそれをわかっているから、もっと悔しかったのかもしれない。