「わかったよー!ご飯の時間になったら一回声かけるね!」
「ありがと美優ちゃん」
美優ちゃんの笑顔に同じ表情を返してから、カーテンをゆっくり閉める。
「……俺がやってやるよ」
途中で龍之介くんが代わってくれて、「ありがとう」と小さくお礼を告げる。
私が引き出しからノートを出すのを見た龍之介くんは、私の頭をそっと撫でてからカーテンの向こうに見えなくなった。
私が寝ると思っているからか、美優ちゃんのひそひそ声がたまに聞こえるものの、基本はとても静かだ。
ノートを開いて新しいページをめくり、そこに今日のことを詳しく書き連ねた。
頭の中に響いてきたあの叫び声を思い出すと、またこめかみが痛む。それでも夢で見た少女の声をほんの少しでも漏らすことのないように書き、夢の内容と照らし合わせた。
やっぱり、昔の私は両親に置いていかれてしまったのだろうか。あの悲痛な声を私が発したのかと思うと、考えただけで胸が抉られる思いがする。
鉛筆を置いて胸をそっと押さえる。
きゅ、と。寂しくて、悔しくて、どうにもならない感情で痛いくらいだ。
私はそのままノートを閉じ、抱き抱えるようにして布団の中に潜り込む。
横になったところで眠くなるわけなどないのに、今は座っているのが嫌だった。
二人に心配をかけまいと、物音を立てないように深呼吸を繰り返す。
美優ちゃんに声をかけてもらうまで、私は一人で意味も無く天井を見つめ続けていた。