それから数日間、私と美優ちゃんは勉強に明け暮れた。
というのも、美優ちゃんがあれから張り切って受験に向けて勉強を始めたのだ。
私の学年の問題集を広瀬先生に持ってきてもらったこともあり、二人で黙々と勉強する日々。
龍之介くんも夏期講習で毎日忙しそうだ。
中学生の勉強はどうやら問題なかったらしい私。龍之介くんの学年のものも、英単語しか見ていないけれど大丈夫そうだった。
広瀬先生に持ってきてもらった荷物の中から、今日は数学をやろうと問題集を取り出した。
文字を書くにも慣れてきた左手で鉛筆を持ち、美優ちゃんにもらったルーズリーフに計算式を書き込んでいく。
どうやら数学も問題無さそうだ。特に深く考えなくても、問題文を読むと計算式が頭に浮かんでくる。
もしかしたら、私は日常的に勉強をしているタイプだったのかもしれない。
「奈々美ちゃんに教えてもらってから、私結構勉強好きになってきたかも」
「本当?」
「うん。特に英語なんて今まで全然理解できなくて嫌いだったけど、意味がわかれば結構面白いし」
「そっか。役に立ててるみたいでよかった」
美優ちゃんの意欲に火が付いたからか、龍之介くんも感心しているよう。
リハビリ自体もとても順調で、手はもう痛みもあまり感じなくなってきており、無理しない程度に積極的に動かしていこうと言われている。
鉛筆を右手に持って文字を書いてみたりするものの、まだ少し持った感じに違和感があり、探り探りやっている。
どうやら美優ちゃんも似たようなものらしく、二人で励まし合いながらの日々だ。