「そうだ!奈々美ちゃんって勉強できる!?私に勉強教えてよ!お兄ちゃんじゃすぐキレるから嫌だし」
「おいコラ、どういう意味だ」
「そういうところだよ!お兄ちゃんに勉強教わったらすぐ喧嘩になるんだもん」
「お前の理解力が悪いからだろ?」
「お兄ちゃんの教え方が下手なんですー」
「じゃあ自分でやれ」
「それができないから奈々美ちゃんにお願いしてるのー!」
二人の言い合いを聞きながら、そういえば私は勉強はどの程度できるのだろうかと疑問に思う。
まぁでも、一応高校生なわけだし。
中学生の勉強くらい、見られるんじゃないだろうか。
ちらりと見ると、龍之介くんが困ったような顔で「引き受けなくていいから」と首を振る。
しかし美優ちゃんは「奈々美ちゃん!お願い!」と頭を下げてくる。
「……私、そんなに勉強得意な方じゃないと思うんだけど……」
「うん!わかるところだけでいいから!」
「……」
そこまで懇願されてしまうと、なかなか断りにくくて。
「……まぁ、私にわかる範囲なら」
条件付きとはいえ、了承してしまった。