「カウンセリングって、なんかこう……想像してたのと違ってびっくりした」
「カウンセリングって一口に言ってもいろいろあるからね。今日は初対面だったから、会話の中から奈々美ちゃんの性格とか話し方とか、そういうのを見てたんじゃないかな」
「あ、そういうこと?」
「私はそういうの専門じゃないからなんとも言えないけど、カウンセリングって患者の話を聞くことがメインだから、話したくなるような信頼関係が大切なんじゃないかな?まずは仲良くなることが第一なんだと思うよ」
「なるほど……」
確かに、信頼関係がなければ自分のことなんて話そうとも思わないだろう。
納得して頷いているうちに、病室にたどり着いた。
「おかえり奈々美ちゃん」
「ただいま。……あ、龍之介くん」
「おぉ、なんか久しぶりだな」
「本当だね」
そこには美優ちゃんと喋っている龍之介くんの姿があった。
ここのところずっと夏期講習で忙しかったらしく、ここには来ていなかった。
心なしか美優ちゃんも嬉しそうだ。
「じゃあ美優ちゃん、リハビリ行こうか」
「はーい。じゃあ二人とも、行ってくるね」
「行ってらっしゃい」
入れ違いにリハビリに向かう美優ちゃんを見送り、私は龍之介くんと二人になる。