「……寝れない」
しかし、目が冴えてしまって寝られそうもない。
仕方なくもう一度起き上がり、引き出しからノートを出してつい数分前に書いたページを開いた。
夢の中で見えたのは、ぼんやりとした男女の姿。
そして私らしき少女。
つまり第三者の視点から夢を見ていたわけだ。
その少女は二人の男女を"お父さん、お母さん"と呼んだ。
その顔を思い出したいのに、朧げな記憶ではそこまでははっきりとしない。
待って!と、何度も手を伸ばしていたのは覚えている。
立花さんも、私の両親は海外にいると言っていた。そこも夢と一致しているような気がする。
「……やっぱり、あれが昔の私……だったのかな……」
ぽつり、呟いてから、ノートを閉じた。