─────
───




"奈々美、お母さんとお父さんね、また海外にお仕事に行かないといけないの。何かあったら二軒隣のおばさんにお願いしておいたから、相談してね"


"また行っちゃうの?いつ帰ってくるの?"


"わからないの。長期の出張になりそうだから、お金は定期的に振り込んでおくからね"


"奈々美。ごめんな。でも大切な仕事なんだ。お前を苦労させないためだから、わかってほしい"


"お父さん……"



そんなに海外に頻繁に行くのであれば、もう海外で暮らせばいいのに。


わたしも海外に連れて行ってくれればいいのに。


そうしたら、ずっと一緒にいられるのに。


どうしてこうなっちゃうんだろう。


どうして、わたしは二人に連れて行ってもらえないのだろうか。悪いことをしたのだろうか。



"わたしも行きたい。お父さんとお母さんと一緒に行きたい"



そう告げても、二人は薄く笑うだけで、わたしを連れて行ってはくれなかった。



"待って!待ってよ!"



何度叫んでも、二人は止まってくれない。
わたしは、また一人ぼっちになってしまった。




───
─────